市販の除湿剤で最も一般的なのが塩化カルシウムを使用したタイプです。塩化カルシウムには空気中の水分を取り込んで液体(水溶液)になる性質があり、この化学反応を利用して除湿を行います。粒状の塩化カルシウムは吸湿すると徐々に固まり、その後液体となって容器の下部に溜まっていく仕組みです。生石灰が自分の重さの30%、シリカゲルが50%の水分を吸着するのに対し、塩化カルシウムは自重の3~4倍もの水分を吸着できるため、除湿力に優れています。
参考)除湿剤の効果・メリットを解説。効果的な使い方は?
ただし、吸湿する時間は周囲の温度や湿度によって変わります。冬場など空気が乾燥している時期はあまり吸湿せず、なかなか水が溜まらないこともありますが、粒が固まり始めていれば吸湿している証拠です。この性質を理解しておくと、除湿剤が正常に機能しているかどうかを判断できます。
参考)https://coop-weblabo.jp/cwl/wp-content/uploads/2021/02/7ef12ef78ab2d2338da9d5eb5ec73d61.pdf
シリカゲルB型は、吸湿と放湿の両方を行うことで空間の湿度を調節する性質があります。吸収できる水分は自身の重さの50%程度で、塩化カルシウムほどの除湿力はありませんが、天日干しすることで再度使用できる点が大きなメリットです。靴の中に直接入れるなど、限られた空間での使用に適しています。
参考)https://www.biccamera.com/bc/i/topics/osusume_dehumidifying_agent/index.jsp
珪藻土は藻類が蓄積されて化石化したもので、表面に細かい穴が無数に空いた多孔質構造を持ちます。この穴に空気中の水分を吸湿してくれるため除湿効果があり、空気中が乾燥している時は吸湿した水分を放出する調湿作用も備えています。炭も同様に多孔質構造で調湿効果があり、特に活性炭を配合した除湿剤は湿気を吸い取るだけでなく、カビや悪臭を防ぐ効果も期待できます。
参考)除湿剤の効果ってどうなの?効果的に部屋の湿気を取る方法– G…
除湿剤が効果を発揮するのは、基本的に密閉された空間です。クローゼットや靴箱、タンス、布団と床の間など、なかなか空気が循環しない場所に使うことで、除湿剤本来の力を最大限に引き出せます。広くて開け閉めの多い空間は湿気が入り込みやすく、人体からも多くの汗が出て湿度が上がるため、除湿剤だけでは不十分です。
参考)部屋の湿気に除湿剤は効果無し?効果を発揮する場所と置く数の目…
部屋全体の湿気対策には除湿剤よりも除湿機が適しており、除湿剤はクローゼットや靴箱などの局所的な湿気対策に使い分けることが効果的です。また、除湿剤の効果のみに頼らず、着たものをすぐにクローゼットにしまわずに一晩ハンガーにかけておいてからしまう、衣類を詰め込み過ぎないなどの工夫も重要です。空気が循環せず湿気がこもってしまうと、除湿剤を置いても十分な効果が得られません。
参考)除湿剤はどこに置くのが効果的?置き場所によって効果に差が出る…
陶器や食器を保管する食器棚やシンク下は、湿気が溜まりやすい場所です。特にシンク下は水分が飛びやすい手洗いスペースの近くに湿気取り剤を置くのがおすすめです。スペースそのものが小さいので隅に一つ置けば十分効果があります。シンク下には小型の湿気取り剤を入れておくと、食器や調理器具、食品を片付ける場所でもあるため、安全性が高い密閉式の袋型が適しています。
参考)湿気が溜まるのは上か下、どっち? 状況ごとの湿気取り剤の置き…
陶器や磁器は吸湿性があり、湿度が高い環境に長期間置かれるとカビが発生したり、色あせや変質の原因になることがあります。大切な食器コレクションや季節の器を保管する際は、食器棚の四隅に置き型の除湿剤を配置し、引き出し内にはシート型の除湿剤を敷くことで、上下からの湿気対策が可能です。また、除湿剤と併せて防カビ・消臭効果のある製品を選ぶと、ニオイ対策にも期待できます。
参考)【徹底比較】除湿剤のおすすめ人気ランキング【2025年】
タンクタイプの除湿剤は、液体が溜まっていくため、お取り替え目安までたまったら交換しましょう。お取り替え目安を超えて使用すると溢れる場合があるため注意が必要です。水がMAXになるギリギリまで使うのはNGで、満水状態が続くと再び湿気を放出してしまうため、交換のタイミングは「水がいっぱいになる前」が理想的です。
参考)【除湿剤の捨て方】取り換え時の目安も解説
除湿剤は通常2~3か月で取り換えますが、湿度の高い時期は1か月経たないうちに取り換える必要があります。乾燥剤タイプ(シリカゲル等)の場合は2~3か月ごとに交換が目安で、交換の目安を「梅雨・秋口・冬前」の年3回にすると管理しやすくなります。「交換した日」を忘れがちな方には、ラベルに日付を書いたり、スマホのカレンダーにメモするのが便利です。除湿剤は「置いたら終わり」ではなく「こまめに見直す」ことがカビ予防のコツとなります。
参考)除湿剤の見直し方
湿気は空気がよどんでいるところにたまりやすい傾向があります。空間のなかでは上より下、真ん中より四隅にたまりやすいため、クローゼットであれば床、靴箱なら最下段に置くのが効果的です。部屋全体がジメジメしている場合は、床に直接湿気取り剤を置くのがおすすめで、目安として一畳あたりひとつの設置が望ましいです。
参考)置き場所によって効果に差が出る! 除湿剤はどこに置くのが効果…
クローゼットやおしいれでは、基本的に下に湿気取り剤を置いておくことが推奨されますが、使用頻度の高い衣類の場合は、その近くに湿気取り剤を置くのが効果的です。例えば、コートやスーツをハンガーに吊るす際には吊り下げ式の湿気取り剤を一緒にぶらさげておくと良いでしょう。寝具を長期間片付けておく場合は、内側に湿気取り剤を挟み込むように片付けることで、使用頻度の低い衣料品や寝具も来シーズン使用するときの湿っぽい感じや嫌な臭い、カビのリスクを防げます。
タンクタイプの除湿剤には、付属のカバーをつけて使用しましょう。カバーには吸湿面を保護する役割があり、カバーをつけずに使用して吸湿面が傷つくと、転倒したときに液体が漏れやすくなります。また、吊り下げ型の除湿剤は空間の中間~上部に設置して空気の循環を意識し、シート型の場合は棚の下、衣類の下に置いて湿気の吸収効率を高めましょう。ポイントは「空気が動くスペースを残すこと」で、ぎゅうぎゅうに物を詰め込んでいると湿気がこもってしまい、除湿剤の力が発揮されにくくなります。
参考)https://ameblo.jp/akabeko-bekobeko/entry-12906399868.html
収納スペースに湿気がこもるとカビが発生することがあります。カビは「温度」「湿度」「栄養分」の条件が揃うと繁殖しやすく、湿度60%以上で活発に活動するため、除湿剤を使用して湿気を取り除くことが重要です。また、ダニも高温多湿の環境で繁殖しやすく、汗を吸収したふとんを収納する押し入れなどは要注意です。ダニは乾燥に弱いため、除湿剤を使って収納スペースの水分を取り除きましょう。
除湿剤のなかには、消臭・脱臭・防カビなど除湿以外の効果が期待できる製品も展開されています。消臭・脱臭効果を謳っている除湿剤は、炭が配合されたものが多く、備長炭と活性炭を特殊配合した製品は湿気とニオイをしっかりと除去できます。防臭・消臭・脱臭効果がある除湿シートは、ニオイ対策に期待でき、抗菌効果もあるので菌が繁殖するのも防げます。
参考)置き型除湿剤のおすすめ人気ランキング【2025年10月】
衣類の収納スペースに衣類害虫が潜んでいると大切な衣類に穴を空けてしまいます。衣類害虫は湿度が高い環境を好むため、できるだけ収納スペースに湿気を溜めないことが衣類を虫食いから守るための重要なポイントです。防虫剤は基本的にある程度密閉された空間で効果を発揮しますので、クローゼットを密閉状態に保ちながら湿気を除去するには除湿剤の使用が効果的で、クローゼットや衣装ケースなどは防虫剤と除湿剤の併用がおすすめです。
<参考リンク>
エステーの公式サイトでは、除湿剤の効果やメリット、効果的な使い方について詳しく解説されています。クローゼットや押し入れなど使用場所別の適切な除湿剤の選び方や配置方法が分かります。
エステー:除湿剤の効果・メリットを解説
除湿剤の仕組みや塩化カルシウムがどのように湿気を吸収するのかについて、分かりやすく図解されています。