アウガルテンとヘレンドって似てない…?
違いはなんなのか見ていきましょう。
歴史
デザイン
工房の所在地
このように、アウガルテンとヘレンドは歴史的につながりがあり、デザインも類似点が多いものの、所在地が異なる別々の窯です。アウガルテンはウィーンを拠点とするオーストリアの窯、ヘレンドはハンガリーの窯という点が大きな違いと言えます。
ヘレンドのデザインを実際に見てみましょう。
たしかにテイストが似てる…。
当時の貴族は、なぜアウガルテンからヘレンドに乗り換えたのでしょうか。単に似ているから、ではないような気がしますね…。
調べたところ、当時の貴族がアウガルテンからヘレンドへ注文先を変更した主な理由は以下の2点だと考えられます。
第一次世界大戦後のオーストリア=ハンガリー帝国の崩壊
オーストリア=ハンガリー帝国が1918年に崩壊し、アウガルテンがオーストリア領に、ヘレンドがハンガリー領に分かれたことが大きな要因です。領土が分かれたため、ハンガリーの貴族はアウガルテンから注文するのが難しくなりました。
ヘレンドの技術力の高さ
ヘレンドの陶工たちは、アウガルテンの伝統的な装飾技法を十分に習得していました。第一次世界大戦後、アウガルテンの「ウィンナー・ローズ」の意匠がヘレンドに引き継がれたことから、ヘレンドの製品の質が高く評価されるようになったと考えられます。
つまり、国境の変更と、ヘレンドの技術力の高さが相まって、ハンガリーの貴族らはアウガルテンからヘレンドへと注文先を変更したと推測されます。ヘレンドはアウガルテンの伝統を受け継ぎながら、独自の発展を遂げた窯元だったのです。
なるほど、世界大戦後に国が分かれたため、ということ?
アウガルテン窯の閉鎖
実はアウガルテン窯は、1864年で閉鎖されています。これによりウインナーローズを含む多くの意匠や職人がヘレンド窯に移ることになりました。
オーストリアとハンガリーは19世紀まで同君連合のオーストリア=ハンガリー帝国を形成していて、ウィーンの文化や技術がハンガリーに伝播しやすい環境にあったことも原因かも。
りました。
1839年創業のヘレンド窯は、19世紀後半にヨーロッパ各地の意匠を取り入れながら発展していきました。1851年のロンドン万博への出品を機に、ウィーンやドレスデンの意匠を積極的に取り入れ、その中にウインナーローズも含まれてたんですね。
なるほど、デザインをパクッたとかそういうことではないんですね。もともとアウガルテンの職人が移って作っているので、似ているのも当然ということなんでしょう。
現在では、ヘレンド窯はウインナーローズを独自にアレンジしながら今日まで作り続け、ハンガリーを代表する伝統意匠として確立しています。
それにしても、アウガルテンはヘレンドの2倍以上の価格差があります。この値段の差はどこから来ているんでしょうか?
ヘレンドとアウガルテンの価格には大きな違いがあり、一般的にアウガルテンの方が高価格帯となる傾向にあります。
その理由として以下の点が考えられます。
歴史の長さ
アウガルテンは1718年創業と300年以上の歴史を持つ老舗ブランドです。一方のヘレンドは1826年創業と比較的新しい窯元です。長い歴史から、アウガルテンの方が高級ブランドとしての評価が高くなっています。
生産量の違い
アウガルテンの製品は全て手作業で作られたため、生産量が限られています。一方ヘレンドは機械化が進んでおり、大量生産が可能です。希少性の高いアウガルテンの方が相対的に高価になります。
装飾の違い
アウガルテンの装飾は繊細で手間がかかるウィーンスタイルが特徴です。ヘレンドはハンガリー伝統の装飾が中心で、アウガルテンほど手が込んでいません。
実際の買取価格を見ても、同じ大きさのプレートでアウガルテンが10万円前後、ヘレンドが1-2万円程度と、アウガルテンの方が高額になっていることがわかります。
このように、歴史の長さ、生産量の違い、装飾の手間暇などから、アウガルテンの方がヘレンドよりも高価格帯に位置づけられているのが一般的です。
手作業と機械化の差が大きいですね。
それにしても品質の差は実際に手にとって見ないとわからなさそうな気がします。
ウインナーローズ柄は、本当にそっくり。