ウェッジウッドワイルドストロベリーの歴史は、実は1960年代の誕生よりもはるかに古く、その起源は1770年代半ばまで遡ります。ウェッジウッド創業初期から、いちごのモチーフは同社の製品に頻繁に登場していたのです。
最初期のデザインでは、クイーンズウェアに手作業でエナメル装飾が施されており、これが現在のワイルドストロベリーの原型となりました。1800年代に入ると、パターンブックに描かれるいちごのデザインに金彩が施されるようになり、特にいちごの葉の部分に金の装飾が加えられ、より華やかに進化していきました。
1820年代には重要な転換点を迎えます。可憐ないちごのモチーフがボーダーデザインへと発展し、いちごの実や葉、金のラインが組み合わさったこのデザインが、現在のワイルドストロベリーコレクションのつる模様の基盤となったと考えられています。
2025年に誕生60周年を迎えたワイルドストロベリーコレクションは、こうした長い歴史と技術の蓄積の上に生まれた傑作なのです。
ウェッジウッドワイルドストロベリーには、知られざる多様なデザインバリエーションが存在します。最も一般的な白地に野いちごが描かれたクラシックパターンから、色彩豊かな現代的なアレンジまで、その種類は多岐にわたります。
🎨 主要なパターン分類
1820年代から1830年代にかけて、ウェッジウッドは創造性にあふれたデザインを次々と生み出しました。華やかで大胆なデザイン、大きないちごのモチーフ、さまざまな色合いなど、実験的なパターンが多く登場したのです。
しかし最終的には、いちごの葉やつるが自然に伸びるような、ナチュラルなボーダーデザインへと回帰していき、これが現在愛されているワイルドストロベリーの基本形となっています。
近年注目を集めているのが「ワイルドストロベリーカジュアル」シリーズです。従来のフォーマルなイメージとは異なり、日常使いしやすいデザインと機能性を重視した現代的なアプローチが特徴です。
🍽️ カジュアルラインの特徴
実際のユーザーからは「マグカップは同じの持ってるけど何より嬉しい」「朝のワンプレートにもケーキなどにも使えそう」といった声が聞かれ、実用性の高さが評価されています。
カジュアルラインは、伝統的なウェッジウッドの品質を保ちながら、現代のライフスタイルに合わせた機能性を追求した革新的な商品展開といえるでしょう。
ウェッジウッドワイルドストロベリーのアンティーク市場における価値は、製造年代、コンディション、希少性によって大きく左右されます。特に1960年代の初期製品や限定版は、コレクターズアイテムとして高い価値を持ちます。
💰 価値に影響する要因
2009年にウォーターフォード・ウェッジウッドが経営破綻した際、アンティーク市場では価格の変動が見られました。しかし、その後の買収により生産は継続されており、ブランド価値は維持されています。
アンティーク専門家の間では「日本のアンティーク商とはこの際手切れしたほうがいい」という意見も聞かれるほど、国内価格と海外価格に大きな差があることが指摘されています。海外のオークションサイトを活用することで、より適正な価格での取引が可能になる場合があります。
ワイルドストロベリーが世界中で愛される理由の一つに、英国文化に根ざした深い象徴的意味があります。自然を愛し、ガーデニングなど植物のある暮らしに長けた英国人にとって、ワイルドストロベリーは「ラッキープランツ」と呼ばれる縁起の良い植物です。
🌿 英国におけるワイルドストロベリーの文化的意味
この可憐な姿を白地にちりばめたデザインのテーブルウェアは、朝日が差し込む朝食のテーブルや、木漏れ日の差す午後のティータイムなど、自然を感じてリラックスする時間にぴったりとされています。
また、女性への贈り物としても特別な意味を持ち、「愛と幸福」を象徴するモチーフとして、結婚祝いや新築祝いなどの特別な機会に選ばれることが多いのです。
英国の伝統的なアフタヌーンティー文化においても、ワイルドストロベリーのティーセットは格別の地位を占めており、単なる食器を超えた文化的アイコンとしての役割を果たしています。
このように、ウェッジウッドワイルドストロベリーは、美しいデザインだけでなく、深い文化的背景と象徴的意味を持つ、まさに英国文化の結晶ともいえる逸品なのです。