ロイヤルドルトンは、1815年にジョン・ドルトンによってイギリスのロンドンで創業された陶磁器メーカーです。当初は実用的な陶器を製造していましたが、次第に芸術性を追求するようになり、1901年にはヴィクトリア女王から「ロイヤル」の称号を授与されました。イギリスの伝統を反映したエレガントなデザインと細部にまでこだわった職人技術が特徴で、世界中の食器愛好家から高い評価を受けています。
廃盤となったロイヤルドルトン製品は、その希少性から特別な価値を持っています。製造が終了したシリーズは新たに市場に出回ることがないため、コレクターやアンティーク愛好家にとって貴重な存在となっています。特に1970年代以前にイギリス国内で製造された製品は、品質の高さから特に価値が高いとされています。
ロイヤルドルトンの歴史は19世紀初頭にさかのぼります。創業者ジョン・ドルトンは、最初はロンドンのランベス地区で小さな工房をスタートさせました。当時は主に排水設備や便器などの実用的な陶器を製造していましたが、1877年に食器製造に参入したことで、ブランドとしての地位を確立していきました。
ヴィクトリア時代のイギリスで高い評価を受けたロイヤルドルトンは、1901年に「ロイヤル」の称号を授与され、名実ともに王室御用達の陶磁器ブランドとなりました。20世紀を通じて様々な革新的なデザインや技術を取り入れ、世界的な高級陶磁器ブランドとしての地位を確立しました。
しかし、2005年には同じくイギリスの名門陶磁器ブランドであるウェッジウッドやウォーターフォードとともにWWRDホールディングスに統合され、2015年にはフィスカー社に買収されるなど、経営体制に大きな変化がありました。こうした経営変更に伴い、多くの伝統的なシリーズが廃盤となり、新しいデザインやシリーズが登場するようになりました。
現在のロイヤルドルトンは、伝統を守りながらも現代のトレンドに対応した製品開発を行っています。一部の生産拠点が国外に移転したことで、古いイギリス製のアイテムには特に高い価値が見出されるようになりました。
ロイヤルドルトンの廃盤商品には、現代の製品には見られない独特の魅力があります。その特徴と魅力を詳しく見ていきましょう。
まず第一に、廃盤商品の多くは限定生産されたものが多く、希少価値が高いという点が挙げられます。特に人気のあったシリーズや、特定のイベントや記念日のために製造された限定品は、コレクターの間で高い評価を受けています。
第二に、デザイン面での魅力があります。廃盤となったシリーズには、現代では見られないヴィンテージ風のデザインや、手作業で丁寧に施された装飾が特徴的です。花柄や自然をモチーフにしたデザイン、金彩を施した豪華な装飾など、時代を超えて愛される美しさを持っています。
第三に、製造技術の違いがあります。特に1970年代以前の製品は、イギリス国内の工房で熟練した職人によって製造されたものが多く、その品質の高さは現代の製品と比較しても一線を画しています。手作業による細部へのこだわりや、釉薬の質感など、現代の大量生産では再現が難しい要素が魅力となっています。
また、廃盤商品にはその時代特有のトレンドや文化が反映されており、歴史的な価値も持ち合わせています。これらの特徴により、ロイヤルドルトンの廃盤商品は単なる食器としてだけでなく、芸術品やコレクターズアイテムとしての価値も持ち合わせているのです。
ロイヤルドルトンには数多くのシリーズがありますが、中でも廃盤となった人気シリーズはコレクターの間で特に高い価値を持っています。ここでは、特に人気の高い廃盤シリーズとその価値について紹介します。
ビルトモア
1991年から2008年まで製造されていたビルトモアは、上品な金の縁取りとマーブル模様のワンポイントが特徴的なシリーズです。現在は廃盤となっており、その洗練されたデザインから多くのコレクターに愛されています。カップ&ソーサーで約1万円前後、ディナーセットなら5万円以上の価値があるとされています。
バロネス
なめらかな白磁に気品漂う格子模様が美しいバロネスシリーズも、現在は製造が行われていない人気の廃盤シリーズです。シンプルながらも高級感のあるデザインが特徴で、特にティーセットは人気が高く、状態の良いものであれば3万円前後で取引されています。
カウンテス
バロネスの色違いのシリーズとして製造されたカウンテスも、廃盤となった今では希少価値が高まっています。バロネス同様に格子模様が特徴ですが、より温かみのあるカラーリングが特徴です。
アルカディア
「牧人の理想郷」という意味を持つアルカディアは、可愛らしい花々が描かれた人気シリーズです。現在では廃盤となっており、そのロマンティックなデザインから特に女性コレクターに人気があります。プレート1枚で8,000円〜15,000円程度、セットではさらに高値で取引されています。
イングリッシュルネッサンス
セージグリーンと金彩が特徴的なイングリッシュルネッサンスは、エレガントな雰囲気を醸し出すシリーズです。日本ではあまり出回っていないこともあり、希少価値が高く、特にティーカップやプレートは高額で取引されることがあります。
キャンディーズ
アルカディアと同様に美しい花々が淡い色調で描かれているキャンディーズも、現在では廃盤となった人気シリーズです。特にティーセットは人気が高く、状態の良いものは高値で取引されています。
これらのシリーズは、保存状態や付属品の有無によって価格が大きく変動します。特に元箱や保証書が揃っている場合は、価値が一段と高まります。また、人物像や動物をモチーフにした置物(フィギュリン)も廃盤品の中で特に人気が高く、希少なものは数十万円の価値を持つものもあります。
ロイヤルドルトンの廃盤品を購入する際に重要なのが、真贋の見分け方です。特に注目すべきはバックスタンプ(裏印)で、これによって製造年やシリーズ名を確認することができます。バックスタンプは時代によって変化しているため、これを確認することで製品の製造時期を特定できます。
ロイヤルドルトンのバックスタンプの主な変遷は以下の通りです。
特に1927年から1993年までの「ROYAL DOULTON MADE IN ENGLAND」の表記があるものは、イギリス国内で製造された本格的なロイヤルドルトン製品と言えます。1993年以降は生産拠点が多様化し、インドネシアやタイなどでも製造されるようになりました。
また、バックスタンプには製品のシリーズ名や製造年を示すコードが記載されていることもあります。例えば「H5087」のような記号は製品番号を表しており、これを調べることでシリーズ名や製造年代を特定できることがあります。
真贋を見分ける際のその他のポイントとしては、以下の点に注目するとよいでしょう。
購入の際は、信頼できる販売店やアンティークショップを利用することも重要です。オンラインでの購入の場合は、詳細な写真や製品情報を確認し、不明点があれば質問するようにしましょう。
ロイヤルドルトンの廃盤品を長く美しく保つためには、適切な保管方法が欠かせません。貴重なコレクションを守るための具体的な方法をご紹介します。
まず、保管場所については、直射日光が当たらない場所を選ぶことが重要です。長時間日光にさらされると、色あせや劣化の原因となります。また、温度や湿度の変化が少ない場所が理想的です。急激な温度変化は陶磁器にひび割れを生じさせる可能性があります。
保管方法としては、以下のポイントに注意しましょう。
コレクションを整理する際のアドバイスとしては、シリーズごとや製造年代ごとにグループ化すると、コレクションの全体像が把握しやすくなります。また、各アイテムの購入日や入手経路、価格などの情報を記録しておくと、将来的な売却や保険の際に役立ちます。
特に価値の高いアイテムについては、専門家による鑑定書や購入時のレシートなどの証明書類も一緒に保管しておくことをおすすめします。これらの書類は、将来的な売却や保険の際に価値を証明する重要な資料となります。
コレクションを楽しむ方法としては、日常使いするのではなく、特別な日や来客時にのみ使用するという方法があります。また、ディスプレイとして飾ることで、インテリアとしての価値も楽しむことができます。ガラスケースやキャビネットに飾る際は、照明を工夫することで、陶磁器の美しさをより引き立てることができるでしょう。
ロイヤルドルトンの廃盤品を購入したい場合や、手持ちの品を売却したい場合のポイントについて解説します。
購入時のポイント
購入のおすすめ時期としては、アンティークフェアやオークションの