ロイヤルコペンハーゲン デンマーク製とタイ製の違い バックスタンプで見分ける方法

ロイヤルコペンハーゲンのデンマーク製とタイ製の違いを徹底解説。バックスタンプの見方や製造年代による特徴、品質の違いまで詳しく紹介します。あなたのコレクションは本当に価値あるものなのでしょうか?

ロイヤルコペンハーゲン デンマーク製とタイ製の違い

ロイヤルコペンハーゲン デンマーク製とタイ製の違い
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製造拠点の変遷

2004年からタイでの製造を開始し、現在はフローラダニカシリーズを除く多くの製品がタイで生産されています。

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バックスタンプの違い

デンマーク製には「DENMARK」の表記があり、タイ製にはこの表記がありません。

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価値と品質

品質は同等ですが、コレクターの間ではデンマーク製の方が高い価値を持つ傾向があります。

ロイヤルコペンハーゲンのタイ製造はいつから始まったのか

ロイヤルコペンハーゲンのタイでの製造は2004年から始まりました。それまでは、すべての製品がデンマーク国内で製造されていましたが、製造コストの削減と生産効率の向上を図るために、タイに製造拠点を設けることになりました。

 

実は、この移行は段階的に行われました。2003年にロイヤルコペンハーゲンはまずタイでの小規模な試験的製造を開始しました。タイの地元企業であるパトラ・ポーセリンとの合弁事業として、バンコクの美術大学から選ばれた10人のタイ人学生に2人のデンマーク人講師が絵付けを教える小さな部門からスタートしたのです。

 

この試験的な取り組みが成功したことを受けて、2004年に本格的な製造工場が建設されました。当初は800平方メートルの小さな工場でしたが、2012年までに10,000平方メートルにまで拡大し、従業員数も60人から330人へと増加しました。

 

現在では、フローラダニカシリーズを除く多くの製品がタイで製造されています。特に2010年以降は、イヤープレートなどの人気シリーズもタイでの製造に移行しました。

 

しかし、デザインの開発や品質管理の中枢機能は引き続きデンマークに置かれており、ロイヤルコペンハーゲンのデンマークとしてのアイデンティティは維持されています。2012年時点でもデンマーク国内には約200人の従業員が働いており、ブランドの本拠地としての役割を果たしています。

 

ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプで見分ける方法

ロイヤルコペンハーゲンのデンマーク製とタイ製を見分ける最も確実な方法は、製品の底面に刻印されているバックスタンプを確認することです。この刻印には製造国や製造年代を示す重要な情報が含まれています。

 

デンマーク製の製品には、バックスタンプに「DENMARK」という文字が明確に記されています。これに対し、タイ製の製品にはこの「DENMARK」の表記がありません。この違いが最も分かりやすい識別ポイントです。

 

また、ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプには、王冠と三本の波線が描かれています。この三本の波線はデンマークを流れる三つの主要な水路を象徴しており、ブランドのアイデンティティを表しています。

 

バックスタンプには製造年代を示す記号も含まれていることがあります。例えば、特定の記号やコードが年代を表していることがあり、これによって製品がいつ作られたかを特定できる場合があります。

 

特に注意すべき点として、1935年より前の古いロイヤルコペンハーゲン製品の中には、「DENMARK」の表記がなくてもデンマーク製のものが存在します。これは当時のマーキング基準が現在と異なっていたためです。

 

バックスタンプを確認する際は、刻印の鮮明さや精度にも注目しましょう。本物のロイヤルコペンハーゲン製品のスタンプには、清楚な王冠マークと精確に描かれた三本の波線が特徴的です。偽物の場合、これらのマークが不鮮明であったり、歪んでいたりすることが多いです。

 

ロイヤルコペンハーゲンの品質はタイ製でも変わらないのか

ロイヤルコペンハーゲンがタイでの製造を開始した際、多くのファンや収集家が品質の低下を懸念しました。しかし、実際にはタイ製のロイヤルコペンハーゲン製品も、デンマーク製と同じ高い品質基準で製造されています。

 

タイ工場での製造プロセスは、デンマーク本社の厳格な監督下で行われています。使用される原材料や製造技術は、デンマーク製と同じものが採用されており、品質に妥協はありません。

 

特筆すべきは、タイ工場で製造される製品は非常に厳しい品質管理プロセスを経ていることです。デザインはまずデンマークで形成され、タイに送られます。そして、装飾や釉薬を施していない製品が作られ、デンマークに送られて審査を受けます。次に、釉薬を施した装飾のないサンプルが作られ、これも承認を受ける必要があります。最後に、完全な装飾を施したサンプルが承認のために送られ、このすべての段階を通過した後にのみ、本格的な生産が開始されるのです。

 

また、タイ工場で使用される重要な機器はすべて輸入されています。例えば、絵筆はデンマークから、窯はドイツから、生産用レールはイタリアからと、世界中の最高品質の機器が使用されています。

 

さらに、タイでの生産開始後、製品一つあたりの製作時間が増加し、デザインの品質向上に力が入れられています。2012年には、タイ工場は180万個の磁器を生産し、前年の150万個から増加していますが、これは品質を犠牲にすることなく達成されています。

 

実際、多くの専門家やコレクターも、タイ製のロイヤルコペンハーゲン製品の品質はデンマーク製と遜色ないと評価しています。デザインや仕上がりの面でも同等の水準が維持されているため、安心して購入することができます。

 

ロイヤルコペンハーゲンのB級品と正規品の見分け方

ロイヤルコペンハーゲンには正規品の他に「B級品」と呼ばれる製品が存在します。これらは製造過程で発生した小さな欠陥があるため、正規品の基準を満たさないものですが、使用上の問題はなく、価格が低めで販売されることが多いです。

 

B級品を見分けるには、まずバックスタンプに注目します。B級品には、王冠の下や三本の波線の下に小さなスクラッチやマークが意図的に入れられていることがあります。これは製造過程で発生した小さな欠陥を示すマークで、アウトレットや特価品として販売される際の目印となっています。

 

また、製品を実際に手に取って確認することも重要です。B級品には、以下のような特徴が見られることがあります。

  • ペイントのにじみや色むら
  • 不均一な釉薬の塗布
  • 形のわずかな歪み
  • 小さな傷や欠け

これらの特徴が見られる場合、それはB級品である可能性が高いです。ただし、これらの欠陥は通常、使用上の問題にはならないため、B級品は価格が低めで購入できる分、コストパフォーマンスが高いと言えます。

 

一方、正規品は厳しい品質管理をクリアした製品で、完璧な仕上がりが保証されています。特に収集目的や贈答用には、正規品を選ぶことが望ましいでしょう。

 

なお、B級品と偽物は異なります。B級品はあくまでもロイヤルコペンハーゲンの正規工場で製造された本物の製品であり、単に品質基準を完全には満たしていないだけです。偽物は非公式に製造された模倣品であり、品質や価値の面で大きく劣ります。

 

ロイヤルコペンハーゲンの買取価格はデンマーク製とタイ製で異なるのか

ロイヤルコペンハーゲンの買取市場では、デンマーク製とタイ製で買取価格に明確な差があります。一般的に、デンマーク製の製品の方がタイ製よりも高く評価される傾向にあります。

 

この価格差が生じる主な理由は、コレクターや愛好家の間での需要の違いです。2004年以前のデンマーク製ロイヤルコペンハーゲンは、ブランドの本国で伝統的な技術によって製造されたという歴史的価値があります。特に古いヴィンテージ品や限定品は、その希少性から高い評価を受けています。

 

また、タイでの製造が始まった当初は、製造国の変更に対する不安や抵抗感から、デンマーク製への需要が高まりました。この傾向は現在も続いており、特に熱心なコレクターの間では、デンマーク製の製品が好まれる傾向があります。

 

具体的な買取価格の差は、製品のシリーズや状態、年代によっても異なりますが、同じシリーズの同年代の製品であれば、デンマーク製の方が10〜30%程度高く買い取られることが一般的です。特に人気の高いイヤープレートシリーズでは、2010年以前のデンマーク製は、それ以降のタイ製と比較して明らかに高い買取価格がつくことが多いです。

 

ただし、注意すべき点として、製品の状態や保存状態が買取価格に大きく影響することも忘れてはなりません。傷や欠けのあるデンマーク製よりも、完璧な状態で保存されているタイ製の方が高く評価されることもあります。

 

また、フローラダニカシリーズは例外で、現在もデンマークで製造されているため、製造国による価格差は生じません。このシリーズは、ロイヤルコペンハーゲンの中でも最高級ラインとして位置づけられており、製造年に関わらず高い価値を保持しています。

 

買取を検討する際は、複数の買取業者に査定を依頼し、最も良い条件を提示してくれる業者を選ぶことをおすすめします。また、箱や証明書などの付属品がある場合は、それらも一緒に提示することで、より高い査定額を得られる可能性があります。

 

ロイヤルコペンハーゲンの歴史とタイ製造への移行背景

ロイヤルコペンハーゲンは1775年、フランツ・ヘンリック・ミュラーによってデンマークで設立された伝統ある磁器メーカーです。創業当初から、デンマーク王室の保護のもとで成長し、「三本の波線」マークはデンマークの三つの主要な水路を象徴しています。

 

このブランドは、ハンドペイントされた繊細なデザインと、美しいブルーとホワイトの色使いで世界的に有名になりました。特に「ブルーフルーテッド」シリーズは、ロイヤルコペンハーゲンを代表する製品として長年愛されてきました。

 

しかし、20世紀末から21世紀初頭にかけて、ロイヤルコペンハーゲンは経営環境の変化に直面します。グローバル化の進展による競争激化や、製造コストの上昇により、伝統的な製造方法だけでは競争力を維持することが難しくなってきました。

 

2000年代初頭、ロイヤルコペンハーゲンは経営戦略の見直しを迫られ、2003年にタイでの試験的製造を開始します。タイを選んだ理由としては、以下の点が挙げられます。

  1. 労働コストの削減:デンマークと比較して労働コストが低いタイでの製造により、コスト競争力を高めることができました。

     

  2. 熟練した労働力の存在:タイには繊細な手作業に長けた職人が多く、ロイヤルコペンハーゲンの高度な技術要件を満たす人材を確保できました。

     

  3. アジア市場への近接性:成長するアジア市場に製造拠点を置くことで、物流コストの削減と市場対応の迅速化が図れました。

     

2004年に本格的な製造工場が建設され、段階的に生産ラインがタイに移転されました。しかし、この移行は単なるコスト削減だけが目的ではありませんでした。ロイヤルコペンハーゲンは、品質を維持するために厳格な品質管理システムを導入し、デンマークからの技術移転を丁寧に行いました。

 

2009年の世界金融危機後、ロイヤルコペンハーゲンは事業の再構築を行い、製品カタログを3,000アイテムから約750アイテムに絞り込みました。この戦略的な縮小により、主力製品に注力し、ブランドの強化を図りました。

 

現在、フローラダニカシリーズを除く多くの製品がタイで製造されていますが、デザイン開発や品質管理の中枢機能は引き続きデンマークに置かれています。これにより、ロイヤルコペンハーゲンはデンマークのブランドとしてのアイデンティティを維持しながら、グローバル市場での競争力を確保しています。

 

ロイヤルコペンハーゲンのフローラダニカシリーズの特別な位置づけ

ロイヤルコペンハーゲンの製品ラインナップの中で、フローラダニカシリーズは特別な位置づけを持っています。このシリーズは、タイ製造への移行が進む中でも、現在もデンマーク国内で製造され続けている唯一の主要シリーズです。

 

フローラダニカシリーズは、1790年代にデンマーク王室の依頼で制作が始まった、ロイヤルコペンハーゲンの最高級ラインです。デンマークの植