アラビア食器について「偽物が出回っている」という噂を耳にすることがありますが、実際のところアラビア食器に偽物は基本的に存在しません。この誤解が生まれる背景には、いくつかの要因があります。
最も大きな原因は、製造国や製造時期による正規品同士の違いを偽物と勘違いしてしまうケースです。特に以下のような状況で「偽物では?」と疑われることが多くあります。
インターネット上で「偽物の見分け方」について言及している記事の多くは、アフィリエイトサイトが販売誘導のために作成したものや、正規品内の製造時期・製造国の違いを誤解した内容となっています。
アラビア食器の正規品には必ず**アラビア工場の刻印(バックスタンプ)**が施されており、これがその製品が正式な品質基準を満たした本物であることを示す証拠となります。つまり、このスタンプがある製品はすべて正規品であり、見た目に違いがあっても偽物と決めつける必要はありません。
アラビア食器で最も誤解が多いのが、フィンランド製とタイ製の違いです。2000年代初頭から順次海外生産に切り替わり、2016年以降はタイやルーマニアの契約工場で製造が行われています。
フィンランド製の特徴:
タイ製の特徴:
価格面では、フィンランド製は手作業部分が多く限定性があるため、タイ製と比較して高値で取引されています。しかし、タイ製も正真正銘のアラビア社製品であり、品質面で劣るわけではありません。
特にヴィンテージのフィンランド製品は、当時の検品体制が現在より甘く、現代の基準では考えられないような歪みや貫入があっても出荷されていました。同じお皿でも数ミリの誤差があるのは当時では当たり前で、このような個体差もヴィンテージ品の魅力の一つとされています。
アラビア食器の真偽を判定する上で重要なのが、工場マーク(バックスタンプ)の理解です。多くの人が見落としがちなのは、このマークが製造年代によって変更されているという事実です。
工場マークの変遷:
従来のロゴは「ARABIA FINLAND」という文字の上に工場の煙突をモチーフにしたマークが付いていましたが、2014年の変更により煙突マークが削除され、「FINLAND」の文字も消されました。
バックスタンプ確認のポイント:
工場マークが異なっていても、それだけで偽物と判断するのは早計です。アラビア公式ホームページには、これまでのデザインや変更の経緯がすべて掲載されているため、不安な場合は確認することをお勧めします。
アラビア食器の中で唯一、偽物の存在が指摘されているのがムーミンマグです。世界的な人気を誇るムーミンキャラクターを使用したマグカップは、その人気の高さから偽物が市場に出回っている可能性があります。
ムーミンマグの偽物識別ポイント:
絵の品質チェック:
バックスタンプの詳細確認:
物理的特徴:
ムーミンマグは食器買取市場でも高い人気を誇り、高価買取が期待できる商品ですが、偽物の場合は当然ながら買取価格は大幅に下がってしまいます。
アラビア食器を安心して購入するためには、従来の知識に加えて、実践的なチェックポイントを押さえておくことが重要です。
購入前の事前チェック項目:
販売者の信頼性評価:
商品情報の詳細確認:
価格の妥当性判断:
独自の判定基準:
梱包状態からの判断:
優良な販売者は商品の保護に細心の注意を払います。アラビア食器の場合、適切な梱包材の使用、衝撃吸収材の配置、「割れ物注意」の表示などが重要な判断材料となります。
購入後のアフターケア:
信頼できる販売者は購入後のサポートも充実しています。商品に関する質問への対応、万が一の破損時の対応、コレクション情報の提供などが期待できます。
専門知識の活用:
アラビア食器について詳しい知識を持つことで、より安心して購入できます。年代別のバックスタンプの違い、有名デザイナーの作品、レアなシリーズの特徴などを学んでおくと、購入時の判断材料となります。
最終的には、正規店での購入が最も確実な方法ですが、ヴィンテージ品や廃番商品を求める場合は、これらのチェックポイントを活用して慎重に選択することが重要です。