アラビア食器のバックスタンプには、製造時期によって大きく異なる2つのロゴパターンが存在します。この違いを理解することが、偽物を見分ける第一歩となります。
従来のロゴ(2014年まで)の特徴:
新しいロゴ(2014年以降)の特徴:
この変更は2014年に実施されており、長寿商品であるムーミンマグなどは両方のロゴが刻印された製品が現在も市場に流通しています。そのため、「いつものロゴと違う」というだけで偽物と判断するのは危険です。
重要なのは、ロゴの種類ではなく刻印の品質です。本物のアラビア食器では、文字の輪郭が鮮明で、位置のずれや文字の歪みがありません。偽物では刻印が浅い、文字がぼやけている、位置がずれているといった品質の粗さが見られることが多いのです。
ムーミンマグは世界的な人気により、残念ながら偽物も多く市場に出回っています。本物と偽物を見分けるためには、以下のポイントを注意深く確認する必要があります。
バックスタンプの品質チェック:
デザインの精度確認:
材質と重量感:
偽物の場合、製造技術の限界から細部の再現性が劣る傾向があります。特にムーミンの表情や体の比率、色の境界線などは、本物と比較すると明らかな違いが見て取れることが多いのです。
また、本物のアラビア製品は厳格な品質管理のもとで製造されているため、重量感があり、手に取った時の安定感も特徴的です。軽すぎる製品や、持った時にバランスが悪いと感じる場合は注意が必要です。
現代のアラビア食器について語る上で欠かせないのが、製造拠点の変遷です。多くの人が驚く事実として、現在のアラビア食器の一部は「Made in Thailand」と表記されています。
製造拠点の変更経緯:
この変更により、「Made in Finland」ではない製品を偽物と誤解するケースが増加しています。しかし、タイ製のアラビア食器も正規品であり、むしろ品質管理の面では向上したとの評価もあります。
フィンランド製とタイ製の違い:
興味深いことに、タイ製の方が技術的な精度は高いとされています。しかし、フィンランド製には手作り感のある温かみや、わずかな個体差による一点物感があり、それを好むコレクターも多いのです。
購入時には製造国よりも、正規販売店での購入かどうかを重視することが偽物を避ける最も確実な方法です。
バックスタンプの刻印位置は、アラビア食器の真贋を判定する重要な要素の一つです。本物のアラビア食器では、刻印の位置に一定の規則性があり、品質管理の厳格さを物語っています。
正規品の刻印位置特徴:
偽物では、刻印位置のずれが頻繁に見られます。これは製造工程での品質管理が不十分であることを示しており、正規メーカーでは通常セカンドグレード品として弾かれるレベルの不良です。
刻印の品質評価ポイント:
北欧ヴィンテージ食器の分野では、刻印がない製品も存在しますが、これは偽物を意味するものではありません。当時の製造工程では、焼成方法や装飾技法が多様であり、刻印の有無も含めて個性として受け入れられています。
しかし、現代のアラビア製品においては、刻印は品質保証の重要な要素であり、その精度は真贋判定の確実な指標となります。
アラビア食器の偽物を避けるためには、購入前の慎重な検討と適切な購入ルートの選択が不可欠です。以下のガイドラインに従うことで、偽物を購入するリスクを大幅に減らすことができます。
信頼できる購入先の選択:
価格の妥当性確認:
販売者の信頼性評価:
オンライン購入の場合は特に注意が必要です。写真だけでは判断が困難な細部の品質を、事前に詳しく確認することが重要です。可能であれば、実物の確認機会を設けてもらうか、詳細な写真の提供を依頼しましょう。
専門鑑定の活用:
また、購入後に疑問が生じた場合は、専門店での鑑定サービスを利用することも有効です。特に高額なヴィンテージ品やレア商品の場合、投資としての価値も考慮して慎重な判断を行うべきです。
アラビア食器の魅力は、その美しいデザインと確かな品質にあります。偽物を避け、本物の良さを味わうためにも、購入時の注意深い選択が重要となります。適切な知識と慎重な購入プロセスにより、長く愛用できる本物のアラビア食器を手に入れることができるでしょう。